こんにちは
谷崎テトラです。
ワールドシフト。この言葉からどんな印象をお持ちになりましたか?
このコラムではワールドシフトのヒントとなるキーワードやアイデアについて書いていきたいと思っています。
連載第一回はまず「ワールドシフト」という言葉が生まれた背景についてお話します。このキーワードが発信されたのは、2008年のリーマンショックの直後のことです。アーヴィン・ラズロ博士を中心とするシンクタンク、ブダペストクラブがこんな宣言を発表しました。
『緊急事態にある世界情勢』
アーヴィンラズロ博士は70年代、ローマクラブのレポート『成長の限界』の作成などにかかわっていて、人口が増加し、工業化がすすんでいくことで、エネルギーの枯渇、環境破壊、気候変動、食糧不足や貧困問題がおこる可能性を早くから警告してきた学者です。近年は『カオスポイント』などの著書で現在の社会の問題点を指摘しています。
現在、ラズロ博士が『成長の限界』で予測された事態はさらに進行しており、生態系・経済・社会の分野で危機的な状況にあり、そしてそれらは複雑に結びついている警告しています。それらの危機に対して、それぞれの問題に個別に対応していくだけでなく、文明の発展の方向性を根本的に変えていくことが必要と考えました。そのキーワードが「WorldShift(ワールドシフト)」です。
「World」という言葉と「Shift」という言葉が結びつき「WorldShift」というひとつの単語が生まれました。
このキーワードを多くの人に知ってもらい、それぞれの活動に役立ててほしいというのがワールドシフトのネットワークです。
持続可能なライフスタイルを表す言葉としてロハスという言葉があります。
ロハスは環境で健康に配慮した生活様式ですが、その背景にあるすなわち消費文化をつくっている資本主義や貧困を生み出す社会のしくみ、開発の方向性から見直していくことが、求められています。その意味ではワールドシフトという言葉はロハスを含むさらに大きな概念ともいえます。
ワールドシフトはあらゆるセクター(行政・ビジネス・市民・個人)のレベルで必要な変革です。また、それぞれの立ち位置(リーダーの役割、専門職の役割、現場レベルでの役割、草の根の役割)で必要な変化でもあります。
そしてそれぞれの地域・現場での変化も必要でしょう。
たとえば、こんなことも言えるかもしれません。
- ワールドシフト=文明そのものの転換
- トランジションタウン=都市の転換
- サステナブルストリート=町づくりの転換
- エコビレッジ=村づくりの転換
- パーソナルシフト=個人の転換
ひとつだけはっきりしていることは、「この世界はこのままでは持続不可能である」ということです。ラズロ博士の語る「ワールドシフト」とは「持続可能で平和な世界への変革」それは文明そのものの在り方の転換、価値感そのものの転換をあらわす言葉です。
今、環境は急速に変化しています。同時に人々の意識や価値感も急速に変化しています。コミュニケーションの速度が加速し、その質が変り、ひとびとの「つながり方」が変ってきました。情報をやりとりするだけでなく、より深く有機的な交流が創発的に起きはじめています。変化は分散的に、それぞれのパーツとして起きてきていて、そのロードマップの全体像をまだ誰も見ることができていないのかもしれません。
そんなプロセスのなかで「ワールドシフト」という言葉は、大変勇気をあたえる言葉です。変化をおそれず進むことで、その方向性を指し示し、意図的に未来を創造していく力をあたえています。
このWEBサイトもすべてボランティアの手によってつくられています。創発的にアイデアが生まれ、「共有地(コモンズ)」をひろげるように。本の印税もこの運動を広げるためにのみ使われます。そんなことがごく自然な出来事のようにはじまっています。
ワールドシフト。この言葉からどんな直感が働きましたか? みなさんは、どのように感じましたか? そして、皆さんだったらどのようなアイデアで実現することができると思われましたでしょうか?またそのための課題やチャレンジは何でしょうか?
この言葉からはじまるアイデアやアクションをサポートするために、ワールドシフト・ネットワーク・ジャパンが立ち上げました。ワールドシフトを宣言し、行動する仲間がつながり、持続可能な社会のための考え方や具体的行動を共有するプラットホームをめざします。そして変化のために行政・企業・市民が連携することや、個人をエンパワーしていくことを目的としています。
みなさんの意見をお聞かせください。どうぞ、ワールドシフトという言葉を聞いたときの最初の感覚を大切にしてみてください。
この言葉に直感した、個々の行動がシフトの主体です。シェアしていきましょう。新しいルールのもとで、具体的なアクションをおこしましょう。
「ワールドシフト」というこの言葉は、それぞれ持続可能な社会への行動やアイデアに新しい名前を与え、その背中を押してくれるのではないかと確信しています。
今日はここまで。次回からそれぞれの分野でのワールドシフトのヒントとなる事例やキーワードを紹介していきたいと思います。
谷崎テトラ
構成作家&音楽家。ワールドシフト・ネットワーク・ジャパン代表理事、地球サミット2012準備事務局スタッフ、愛知県立芸術大学非常勤講師。谷崎テトラオフィス代表。TV・ラジオ・Web番組や出版の企画など、様々なメディアを通じてパラダイムシフトの提案をしている。地球温暖化防止レインボーパレードやアースデイTOKYO、などの環境保護アクション、BeGood Cafeなどの社会起業に参加。世界のエコビレッジの共同体デザイン、パーマカルチャー(持続可能な農的文化)などの実例から、先住民から学ぶディープエコロジーの思想まで、未来のデザインのためのコンテンツを提供している。また世界の聖地をめぐり収録した自然音や、アンビエント音楽を制作。地球を感じる作品をつくりつづけている。主な企画・構成はテレビ朝日「素敵な宇宙船地球号」やTOKYO FMデイリープラネット、WorldShift Radioなど多数。
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